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上野敏郎の今週のコメント |
第1389回普段着のとかちミーティング |
〜ダッコちゃん〜
1960(昭和35)年発売、当時の株式会社宝ビニール工業所から180円で
発売された空気で膨らませるビニール人形が、若い女性を中心に大ブームを
巻き起こしました。
“ダッコちゃん”というのは実は愛称で、正式には『ウィンキー』というそうですよ。
真っ黒な人形で、両手足は輪状になっており、ちょうどコアラが木にしがみつく
ポーズをとっていることから腕などに抱きつかせることが可能であり、街中でも
この人形をぶら下げて歩く女性が増え始めました。
やがてテレビで取り上げられ” ダッコちゃん”という愛称が与えられると、
一気にブームに火がつき、発売開始から半年間で240万個の爆発的なヒットとなり、
当時の社会現象にまでなりました。
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〜豆知識〜
〜ダッコちゃん製造停止〜
ダッコちゃんはアメリカから黒人蔑視との批判が出て、タカラは「ダッコちゃんは
黒人がモデルではなく日焼けした子供のデフォルメ」と釈明しましたが、
商品自体の採算性の落ち込みもあり1988年(昭和63年)6月に製造を
停止しました。製造停止までに販売されたダッコちゃん人形の総数は真正品のみで
累計600万個に達したといいます。
同年、黒人差別をなくす会が結成され黒人差別論争が活発化すると、漫画や
アニメなどのステレオタイプな黒人の描写が差別的であるとしてさまざまな
出版社や制作会社が自粛を決定し、その論争のなかに
「ダッコちゃん」も加えられました。ダッコちゃんの商品自体は同会の結成前に既に
製造を終了していましたが、社標の「ダッコちゃんマーク」は業容の拡大による
CIの一新に伴い、1990年(平成2年)3月をもって使用を停止しています。