上野敏郎の | |
上野敏郎の今週のコメント |
第1439回普段着のとかちミーティング |
開催日 令和5年1月16日(月) 話 題 「帯広地方の子守唄」を考察する [4] −「赤い山青い山白い山」の謎− |
「赤い山青い山白い山」の本籍地 その2 北陸地方には、その昔、小さな子どもや赤ちゃんを「ねんね」と呼んだ時代があった。それを裏付けるように、北陸地方には「ねんね」の言葉が入る子守唄が多いのである。 平成21(2009)年に発行された尾原昭夫著「日本子守唄選集 上巻」(郷土文化協会)に、福井県三国町の子守唄「ねんねの寝た間に」が載っている。歌詞は次の通り。 ねんねんや おろろいや ねんねの寝た間に ままたいて 赤い茶わんに ままよそて 白い茶わんに ととよそて 食わしょと思たら 目がさめた ねんねんや おろろいや この子守唄を著者尾原昭夫氏はこう解説する。 「北陸日本海岸の景勝地東尋坊に近い三国町安島の、旋律の美しい子守唄です。歌詞の発想が北海道十勝地方の「赤い山青い山」に似ているところ興味が引かれます。」と。 この子守唄には、「ねんね」は出てくるが「とちもち」は出てこない。しかし、三国町は、現在は合併して坂井市になっているが、福井県坂井郡にあったまちで九頭竜川の河口周辺に位置していた。 この九頭竜川は洪水の多い川であった。明治28,29年にも北陸の各地に水害が発生し周辺農民は致命的な被害を受けたのであった。この時期が、十勝国の植民地の貸付停止策の解除と重なり北陸地方から多くの移住者がこの十勝に移り住むことになったのである。 帯広の大地で、北陸の子守唄が聞こえても不思議ではない。 |
文責:上野 敏郎 |