上野敏郎の | |
上野敏郎の今週のコメント |
第1440回普段着のとかちミーティング |
開催日 令和5年1月18日(水) 話 題 「帯広地方の子守唄」を考察する [5] −「赤い山青い山白い山」の謎− |
「赤い山青い山白い山」の本籍地 その3 ここまでの調査で、帯広地方に伝わる子守唄「赤い山青い山白い山」は、北陸地方からこの帯広に入植した開拓者と深い関連があると確信を持っている。 前述の「北陸のわらべ唄」の著者石崎直義氏は、「赤ん坊、赤ちゃんは、お乳をたっぷり飲んで、よく寝て育つといわれる。だから、乳のみ児をねんねと呼ぶのである。」と説明する。現在の北陸地方で、赤ちゃんを「ねんね」と呼ぶことは極めて少ないようだが、その昔はごく自然に「赤ちゃん」を「ねんね」と呼んでいたことはこの地方の子守唄から容易にわかるのである。 「橡餅(とちもち)」はどうか。北陸地方には橡の木は生息し、現に北陸のいくつかの和菓子屋さんには「橡餅(とちもち)」が販売されている。このことから、昔からこの地方の人々は、普通の暮らしの中にこの餅はあったと考えていい。 それよりも何よりも、勝山市から提供を受けた昭和58年発行『北谷見聞録』(北寿会編)から抜粋した資料によれば、福井県勝山市の北谷(きただに)地区には「赤い山青い山白い山」とよく似た詞の子守唄があったのだ。曲名は「北谷の子守うた」とある。 一.ねんねの寝た間に 何しょいの あずき餅の とち餅や ごんぼの葉に つつんで 赤い山に もってけば 赤いぞうりがつづく 青い山に 持ってけば (青いぞうりが つづく) 白い山へ持ってけば 白いぞうりが つづく ※( )の歌詞は資料にはない。歌の流れから、「書き落とし」と判断した。 二.その夜に大雨 降りだいて からかさ屋へと かけこんで からかさ一本 貸せというた あるものないというて 貸さなんだ やれやれ 業わき 腹だちや そのように お腹が立つなれば 今度眼 いのちのあったおり とっておいて 貸しましょや |
文責:上野 敏郎 |